ここは月見山。千年以上も昔から、月を愛でる場所として親しまれてきました。
平安の貴族であり歌人の在原行平(ありわらのゆきひら・業平の兄)がこの地で月見をします。京の都を想い、遠く須磨までやってきた心を慰めたのでしょう。
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約100年後、行平をモデルに源氏物語が須磨の月見の憧憬から書き始められます。「今宵は十五夜なりけり・・・」紫式部は琵琶湖(瀬田川)の水面に映る名月を眺めながら須磨の月を想い、物語の重要な転換場面である「須磨の巻」を描きます。
主人公・光源氏も行平同様、月を眺めて都で待つ紫の上らを思うのです。
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こうして須磨は月の名所となり、江戸時代には松尾芭蕉が名月を見に須磨を訪れます。江戸期の名所図会等に登場する名勝「行平月見の松」は、かつてこの辺りにありました。天皇の別荘「武庫離宮」造営の際には、御殿より見て月の出る方向にあずまやを建てます。
現在でも「月見山」は駅名や地名に残っています。古来より月見の名所とされた、この「月見山」からの名月を、ゆっくりとお楽しみください。
<解説より>
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