『花橘亭〜源氏物語を楽しむ〜』源氏物語ゆかりの地をめぐる「須磨」「明石」紀行「須磨」を歩く綱敷天満宮
源氏物語ゆかりの地をめぐる
       
 



綱敷天満宮(つなしきてんまんぐう)

●所在地 :神戸市須磨区天神町2−1−11
●交通 :山陽電車「須磨寺」駅下車 徒歩3分 または JR「須磨」駅下車 徒歩10分
⇒綱敷天満宮 公式ホームページ

 “須磨の天神さま”として親しまれている天満宮。菅原道真が大宰府へ下る時に須磨の浦に立ち寄り、地元の漁師が造った大綱の円座で休憩したと伝わります。
 『源氏物語』<須磨>内では度々、菅原道真の漢詩が引用され光源氏の寂しい境遇を浮き彫りにしています。大宰府に左遷された菅原道真と須磨に流謫した光源氏のイメージを重ねることでより物語に深みをもたせているのです。
 須磨にお立ち寄りの際は綱敷天満宮を参拝なさってはいかがでしょう。
綱敷天満宮


 「恩賜(おんし)の御衣(ぎょい)」
■『源氏物語』第12帖<須磨>において、光源氏が異母兄・朱雀帝から賜った衣を身に離さず、須磨に持ってきたことを語る場面があります。

 その夜、主上のいとなつかしう昔物語などしたまひし御さまの、院に似たてまつりたまへりしも、恋しく思で出できこえたまひて、
 
「恩賜の御衣は今此に在り
 と誦じつつ入りたまひぬ。御衣はまことに身を放たず、かたはらに置きたまへり。


 (訳=その夜(昨年9月20日の夜)、主上がとても親しく昔話などをなさった時の御様子、故院にお似申していらしたのも、恋しく思い出し申し上げなさって、
 
「恩賜の御衣は今此に在る」
 と朗誦なさりながらお入りになった。御衣は本当に肌身離さず、側にお置きになっていた。)



【源氏物語の本文と訳は 渋谷栄一先生のwebサイト『源氏物語の世界』より引用】


 光源氏は須磨で十五夜の月<中秋の名月>を見て、1年前に宮中・清涼殿で行われた管弦の遊びを思い出します。そして、異母兄・朱雀帝が父である桐壺院に似ていらっしゃる様子を思い出し、菅原道真が配流先の大宰府で詠んだ漢詩を口ずさむのでした。

 『源氏物語』内に描写はないものの、光源氏は朱雀帝から衣を賜っており、その衣を大事に須磨まで持ってきていました。


 この場面の元になっている菅原道真漢詩と読み下し文は以下のとおりです。

 

 九月十日

去年今夜侍清涼
秋思詩篇獨断腸
恩賜御衣今在此
捧持毎日拝餘香


 
 九月十日

去年の今夜 清涼に侍す
秋思の詩篇 独り断腸
恩賜の御衣 今此(ここ)に在り
捧持して   毎日余香を拝す

菅原道真の漢詩集『菅家後集』 四八二 より
【漢詩と読み下し文は 『菅家の文華』(発行:大宰府天満宮文化研究所)より引用】

 菅原道真は900年(昌泰3年)9月10日に清涼殿で催された宴において、醍醐天皇から衣を賜りました。
 901年(昌泰4年・延喜元年)、菅原道真は大宰権師として大宰府に左遷されます。同年9月10日、大宰府の配所・府の南館で1年前の宮中での様子を偲び、醍醐天皇から賜った衣の移り香を拝して、漢詩「九月十日」を詠みました。

※903年(延喜3年)2月25日、菅原道真は大宰府の配所・府の南館で亡くなります。



 綱敷天満宮

綱敷天満宮
祭神 菅原道真


波乗り祈願
波乗り祈願像
時勢の波に乗り夢が叶うことを祈願します。
幼少時代の菅原道真公をモチーフに制作・建立されました。


綱敷天満宮
本殿



「なす」の腰かけ 三重塔 菅公母子像
「なす」の腰かけ

本殿に向かって願いをこめて「なす」に腰かけると何でも願いが叶うそうです。
三重塔

遠くからでも目立つ大きめの塔。鮮やかです。
菅公母子像
(菅原道真の母に抱かれる像)

母君が菅公へ詠んだ歌が記されています。
影向の松(ようごうのまつ) 絵馬 歌碑
影向(ようごうの松

菅原道真が大宰府に下る途中、風波を避けて一時、須磨に上陸されました。地元の漁師たちはこの松の木の下に魚網の大綱を巻き、円座を作り休息いただいたと伝わります。
絵馬

縁結び・所願成就・合格祈願の絵馬です。

御守りもたくさんの種類がありました。
歌碑

 東風吹かば
 匂ひおこせよ 
 梅の花
 主なしとて 
 春な忘れそ

綱敷天満宮も梅の名所だそうです。







■ところ変わって・・・九州 福岡県太宰府市。(管理人は福岡県民です。)

太宰府市 榎社  榎社(南館跡)

 住所:福岡県太宰府市朱雀6丁目18−1
 交通:西鉄電車「二日市」駅下車 徒歩13分

 菅原道真が大宰府で生活し亡くなった南館跡です。
 漢詩「九月十日」を詠んだ地でもあります。
太宰府天満宮  太宰府天満宮 ⇒太宰府天満宮公式サイト

 住所:福岡県太宰府市宰府4丁目7−1
 交通:西鉄電車「太宰府」駅下車 徒歩9分

 菅原道真の墓所の上に社殿が造営されています。
 本殿前の“飛梅”は白い花を咲かせます。




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